長年電気温水器を使用していて故障や老朽化で、次はエコキュートへの交換を検討される方が増えています。
その際電気温水器からエコキュートへ交換するのに、
「工事費用はいくらくらいかかるのか?」
「工事の内容はどんなものになるのか?」
「新たに必要な工事、省略できる工事はあるのか?」
など気になるところではないでしょうか?
この記事では、給湯器を電気温水器からエコキュートに交換するのにかかる工事費用や工事の内容についてご紹介したいと思います。
基本的な工事の流れや標準工事に含まれるのはどこまでの工事なのか、また追加工事が必要なケースやその費用などについても解説したいと思います。
電気温水器とエコキュートの違いは?
電気温水器からエコキュートへ交換するにあたって、両者の違いは何なのか、そもそもどちらがいいのかと思う方も多いのではないでしょうか。
電気温水器とエコキュートはお湯の作り方が違う
電気温水器とエコキュートはどちらも電気を使ってお湯を沸かす給湯器で、安い深夜電力を使うことで電気代を安く抑えることができます。
電気温水器とエコキュートの大きな違いは、お湯の作り方です。
電気温水器はタンクの中の水を電気で直接ヒーターを温めてお湯を作っています。
それに対してエコキュートはヒートポンプで空気を圧縮することで熱を作り出し、お湯を沸かしています。
エコキュートは設置スペースが余分に必要
電気温水器は貯湯タンクの中にヒーターが内蔵されているのに対して、エコキュートは貯湯タンクとは別にお湯を作るためのヒートポンプユニットがセットになっています。
その為、電気温水器からエコキュートに交換する場合には、貯湯タンクを設置するスペースにプラスしてヒートポンプユニットを設置するスペースが必要です。
ヒートポンプユニットはエアコンの室外機を一回り大きくしたようなものなので、機械自体はそこまで設置スペースが必要なものではないのですが、空気の吹き出し口があるため、機械前面には余裕スペースが必要ととなります。
また、ヒートポンプユニットの作動時には若干の低周波音が出るため、設置場所によっては、隣の家との距離をとるためのスペースが必要になります。
元々電気温水器を設置していた場合は、貯湯タンクの設置スペースは既に確保されているので、エコキュートを設置する際には、ヒートポンプユニットの設置スペースを確保できるか確認しましょう。
電気温水器とエコキュート、次に交換するならどちらがベストなのか?
電気温水器とエコキュート、「安い深夜電力を使ってお湯を沸かす」というコンセプトはどちらも同じですが、これから交換するならどちらがベストなのでしょうか?
エコキュートはランニングコストが安い
先述した通り、電気温水器はヒーターを使い「電気を直接熱に変えることで」お湯を作っています。
言ってみれば、電気温水器は1の電気エネルギーを使って1の熱エネルギーを作作っています。
これに対して、エコキュートはヒートポンプの技術を使うことで、1の電気エネルギーを使って2の空気中の熱エネルギーを取り出し、3以上の熱エネルギーを生み出すことができます。
そのため、エコキュートは電気温水器と比べて約1/3の電力消費で同じ量のお湯を作ることができるのです。
同じ量のお湯を使うのに1/3の電気代で済むランニングコストの安さがエコキュートと電気温水器の最も大きな違いであり、エコキュートの最大のメリットと言えます。
電気温水器は機器の価格が安い
電気温水器はエコキュートに比べると構造が単純なため、機器本体の価格が安く初期投資を抑えることができます。
しかし最近ではエコキュートの普及が進んで両者の価格差は小さくなっていて、10年〜15年使用することを考えると毎月の電気代の差で、価格差を十分に埋めることができるようになってきました。
トータルコストを考えると電気温水器よりもエコキュートを選ぶ方が圧倒的に多くなっています。
また、エコキュートは各メーカーがこぞって新商品を開発していて、ラインナップも豊富なのに対して、電気温水器は年々市場規模が小さくなっています。
さらにエコキュートの場合は、マイクロバブル浴などのより快適なお風呂を楽しめる上位機種を選ぶことができるのも大きな魅力です。
トータルコストの面はもちろん、商品選択の幅の広さから言っても、今後はさらにエコキュートが主流になっていくのは確実です。
電気温水器からエコキュートへの交換工事費用の相場は?
一般的に電気温水器からエコキュートへの交換する際の工事費用は、だいたい10万円~15万円が相場となります。
これにエコキュート本体の購入費用がかかりますので、「エコキュート本体+工事費」のトータルの費用は、
給湯専用タイプで50万円〜60万円程度
フルオートタイプで60〜70万円程度
※エコキュート本体のグレードによってトータルの費用は変わります。
電気温水器からエコキュートへ交換する際の一般的な交換工事の内容としては、
- 既設の電気温水器の撤去・処分
- 基礎工事
- 配管工事(給水・給湯・排水)
- エコキュート本体・ヒートポンプの据付工事
- リモコンの交換
- 貯湯タンクとヒートポンプユニットの接続
- 電気工事(電力会社への申請代行を含む)
- 試運転および使用説明
などが挙げられます。
電気温水器からエコキュートへの交換の場合、既存の電気温水器のタイプや現場の状況等によって、上記の内容から省略できる工事がある場合があります。
逆に追加の工事が必要な場合がある場合もありますので、それらを加味して最終的な工事金額が決まります。
必要な工事については現場によって異なりますので、必ず事前に現場を確認してもらい工事費についても事前に見積もりを取ることが大切です。
電気温水器からエコキュートへの交換、工事の流れは?
電気温水器からエコキュートへ交換する場合の、交換工事の内容を流れに沿って説明します。
標準工事は同じタイプ(給湯専用から給湯専用、フルオートからフルオート)の交換工事が前提となります。
既設電気温水器の撤去・処分
エコキュートを新たに設置するため、これまで使用していた電気温水器を撤去します。
基礎工事
電気温水器を撤去した後の設置場所が不安定だったり、設置場所を移動する場合には、エコキュートを設置できるよう基礎工事を行います。
設置場所にエコキュートの大きさに合わせた型枠を組みセメントを流し込んでエコキュートを設置できる土台を作ります。
工期を短縮するために既成品のベースを使用する場合もあります。
配管工事
エコキュートの配管工事では水道を断水して、既存の給水配管、給湯配管をエコキュートに接続できるように配管していきます。
沸き上げ時に貯湯タンク、ヒートポンプユニットから出る排水を処理する配管も同時に行います。
また、フルオートタイプの場合は追い炊き配管も接続できるように加工していきます。
また、給湯専用タイプの電気温水器からフルオートタイプのエコキュートへ交換する場合には、循環アダプター及び追い炊き配管を新設する必要があります。
エコキュート本体・ヒートポンプの据付工事
エコキュート本体(貯湯タンク)を搬入し、基礎土台に設置します。
基礎土台にアンカーボルトを打ち込みエコキュートの脚をボルトでしっかりと基礎土台に固定します。
その際、エコキュート本体が水平に設置されるようレベル調整を行います。
ヒートポンプユニットも搬入し水平に設置します。
エコキュート本体・ヒートポンプへの配管工事
貯湯タンクに湯・水配管、追い炊き配管(フルオートの場合)を接続し、必要に応じて保温材を巻いて配管を保護します。
さらにエコキュート本体とヒートポンプユニットを専用の配管接手・配管材で接続します。
そしてエコキュート本体・ヒートポンプユニットへ電気配線・リモコン線・アース線を接続します。
リモコンの取付
給湯専用タイプの場合はメインリモコン、フルオートタイプの場合はメインリモコン・風呂リモコンの2つを取り付けます。
既存のリモコンがある場合はリモコンのみを交換し、リモコン線はそのまま使う場合が多いのですが、既存のリモコン線が細い、古い場合は新たに引き直すことになり、別途工事費が掛かる場合があります。
また、給湯専用タイプからフルオートタイプに変更した場合は、風呂リモコンを新設することになります。
その場合、リモコン線を通すための壁への穴あけや、リモコン線の新規引き込みが必要になり、別途工事費が掛かります。
電気工事
電気工事はエコキュート本体の設置、配管工事と同時進行で行います。
エコキュート用の専用ブレーカーを設置し、エコキュート本体への配線工事を行います。
標準工事に含まれる配線工事の距離は業者によって違いますが、大体10~15mで、それ以上の距離を配線する場合には追加工事となる場合があります。
また、電気温水器からエコキュートへ変更する場合にも電力会社への申請手続きが必要となりますが、ほとんどの場合、この申請手続きの代行費用も標準工事に含まれています。
試運転および使用説明
全ての配管、接続が終わったら試運転を行います。
貯湯タンクの逃し弁を開いてから専用給水栓を開きタンクに水を張ります。貯湯タンクが満水になり、逃し弁から勢いよく水が排水されるのを確認し逃し弁を閉じます。
次に各蛇口のお湯側を開いて給湯配管のエア抜きを行います。
そのあとエコキュートのブレーカーを上げて電源を投入し、各メーカーの工事説明書に従って試運転を行い、エコキュートが問題なく作動することを確認します。
最後に取扱説明書に従ってお客様へエコキュートの操作方法を説明して、標準工事は完了となります。
操作方法や普段のお手入れの方法など、気になる点があればこの時に質問しておきましょう。
エコキュートは貯湯タンクにお湯が貯まらないと使えないのでこの時点ですぐお湯を使うことができません。
試運転完了後、沸き上げを開始しますのでリモコンの残湯表示を確認し、お湯が貯まってから使用を開始するようになります。
エコキュートへの交換工事にかかる時間は?
電気温水器からエコキュートへの交換工事は、同じタイプのものへの交換であれば半日程度、追い炊き配管の新設など追加工事がある場合でも1日で工事が完了する場合がほとんどです。
ただし沸き上げ開始からお湯が使用できるようになるまで4~5時間程度掛かるため、工事の終了時間によっては工事当日はお風呂が使用できる時間が遅くなったり、お風呂が使用できない場合があるので注意が必要です。
電気温水器からエコキュートへ交換、追加工事が掛かるケースは?
電気温水器からエコキュートへの交換工事の場合、現場の状況によっては次のような追加工事・費用が掛かる場合があります。
電気温水器の処分費
電気温水器の貯湯タンクはガス給湯器や石油給湯器に比べて大型のため、追加で処分費用が必要になるのが一般的です。
既存の電気温水器の処分に必要な費用の目安は10,000~20,000円程度です。
配管・配線の延長
基本的に給水、給湯配管は既存の配管に繋ぎ込むだけなので標準工事の範囲内です。
また、電源の配線もブレーカー容量の変更のみで、既存の電源線をそのまま使用できる場合が多いでしょう。
但し、エコキュートの設置場所をこれまで電気温水器が設置されていた場所から変更した場合、湯・水配管や電気配線を延長する必要があります。
既設配管から5m以内、電気配線の場合は10mくらいまでの延長なら標準工事の範囲内で工事してくれる場合が多いです。
と言っても、標準工事の基準は業者によってまちまちなので、見積もりの際にあらかじめ相談しておいた方がいいでしょう。
追い炊き配管の新設
給湯専用の電気温水器からフルオートタイプのエコキュートに交換する場合には、追い炊き配管の新設工事が必要になります。
工事の内容は、「浴槽への穴あけ、循環アダプター取付」と「追い炊き配管の設置」で費用は10,000~15,000円程度が目安になります。
また、三菱の「ホットあわー」やパナソニックの「酸素入浴」、日立の「快泡浴」、ダイキンの「マイクロバブル入浴」などの特殊機能が付いた機種については専用の循環アダプターに交換する必要があります。
その場合には専用アダプター代に加えて、20,000円程度の追加工事費が掛かります。
追い炊き配管新設にかかる費用は、浴室の種類(ユニットバスか、在来のタイル風呂か)によって変わるので、事前の見積もりを必ずしてもらいましょう。
幹線の張替え工事
幹線(電気メーターから電線を屋内に引き込んでいる部分から分電盤までの間を繋ぐケーブル)が細い場合、幹線の張替え工事が追加で必要になる場合があり、20,000円~40,000円程度の費用が掛かります。
ユニック等の特殊運搬
エコキュートの貯湯タンクは大型で長さがある(約2m)為、設置スペースが必要なのはもちろんですが、古い電気温水器を搬出したり、設置場所まで新しいタンクを搬入するための通路や商品の向きを変えるためのスペースが必要になってきます。
もともと電気温水器が設置されているのですから、問題ないと思いがちですが、電気温水器を設置した当時とは、現場の状況が変わっている場合があるので注意が必要です。
電気温水器を設置した後に建て増しをしていたり、物置やカーポート、テラスなどを設置していたりして設置場所にはスペースが十分あっても、エコキュートを搬入したり、撤去した電気温水器を搬出する経路のスペースがなくなっているケースがよくあります。
その場合には、クレーンやユニックなどで貯湯タンクを吊り上げて搬入したり、隣の家から作業人数を増やして塀越しに搬入したりなど特殊な搬入が必要になります。
その場合にはユニック車の使用料や、人件費の追加などの料金が掛かることがありますので、見積もりの際には相談しておきましょう。
まとめ
今回は電気温水器からエコキュートへの交換工事の内容や費用について詳しくご紹介しましたがいかがだったでしょうか?
電気温水器からエコキュートへの交換工事は、他の給湯器からの交換よりも簡単にできると思われがち(実際に簡単にできる場合も多い)なのですが、上記で挙げたように機種の変更や現場状況によっては追加工事が発生することもあります。
また、同じ工事内容でも業者によっては標準工事内でやってくれるか、追加料金が掛かるかの基準が異なるため、見積もり金額に差が出ることがあります。
なので、事前の現場見積もりは必須で、できれば複数の業者から相見積もりを取るのが理想と言えます。
複数の優良業者から相見積もりをとるお手軽な方法については、こちらの記事を参考にしていただければと思います。