給湯器の業者に勤めていて、厳冬期に問い合わせが増えるのが、給湯器の「凍結」に関するものです。
天気予報で「この冬最強の寒波が到来!」のようなニュースが流れた翌朝に掛かってくる電話の多くは「凍結してお湯が出なくなった!」というもの。
凍結は例年1月から2月頃に多く、毎年この時期には問い合わせが集中して、対応に奔走することになります。
典型的な症状としては、「お湯が出ないが水は出る」というもので、蛇口の水側をひねると普通に水が出るのですが、お湯側は何も出ないというもの。
お湯側も水が出て「温かくならない(お湯にならない)」というであれば、給湯器の故障など、凍結以外の原因が考えられますが、水すら出ないのであれば凍結が疑われます。
今回は給湯器の凍結で「お湯が出ないが水は出る」場合の原因と、凍結した場合の対処法、そして凍結しないための予防法についてまとめてみました。
凍結で「お湯が出ないが水は出る」、その原因は?
給湯器の冬場のトラブルとして代表的な「凍結」ですが、関東以西の比較的温暖な地域で多いのが「お湯が出ないが水は出る」という症状です。
原因が凍結ならお湯はもちろん、水のほうも出なくなりそうなものですが、なぜ「お湯が出ないが水は出る」ということになるのでしょうか?
その原因は、「水道管と給湯配管の温度差」にあります。
水道管が外気に触れない地中に埋設されているのに対して、給湯器周りの給湯配管はどうしても外に出てしまいます。
一般的に外に露出している配管にはスポンジ状の保温材を巻いて防寒対策をしています。
しかし経年劣化で保温材が取れてしまったり、温暖な地域で最初から保温材が巻かれていなかったりすると、そこから凍結してしまうのです。
凍結を防ぐ為にも、給湯器周りの配管に保温材が巻かれているか一度確認してみましょう。保温材が破れていたり、巻かれていない場合は業者に依頼して保温材を巻いてもらうが、ホームセンターなどで売っているものを自分で取り付けるかして配管を保温しましょう。
保温材がすぐに用意できない場合は、タオルなどを配管に巻くことで応急処置をすることもできます。
また、寒さが厳しく保温材を巻いても頻繁に凍結するような場合は、配管用の凍結予防ヒーター(ヒーターバンド)を取り付けるのも効果的です。
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凍結予防ヒーターは配管に巻き付けることができるベルト状のヒーターで、配管に取り付けてコンセントに差しておくと、内蔵するサーモスタットが外気温の低下に反応して自動的にヒーターにスイッチが入るようになっています。
保温材と併用することでより効果的に配管の凍結を予防してくれます。
給湯配管が凍結した時の対処法は?
給湯配管が凍結した時の対処法の基本は「自然に溶けるまで待つ」になります。
早く溶かしたいからといって、ライターやバーナーなどの直火であぶったり、熱湯をかけたりは絶対にしないでください。
配管が破裂して、高い修理代を払うハメになる恐れがあります。
もし配管を温める場合は、配管にタオルなどを巻いた上で40℃程度のぬるま湯をゆっくりとかけるか、ドライヤーなどの熱を遠目に当てて温める方法がありますが、ピンポイントで凍った場所を溶かすのはかなり難しいので、あまりおススメしません。
外で配管を温める作業は寒い上に効果が薄いので、お部屋で暖かくして自然解凍を待ったほうがいいと思います。
簡単にできる!給湯配管が凍結しないための予防法は?
天気予報等で寒波の襲来はあらかじめ予想できるので、給湯配管が凍結しないように予防の為の対策を事前に取っておきましょう。
・給湯器のリモコンの運転スイッチを切る。(コンセントは抜かない)
・お風呂の蛇口の「お湯側」を開き(サーモスタット混合栓の場合は最高温度にする)、少量の水(ツーっと糸を引く程度)を出したままにする。
このようにして給湯配管内の水を「動かす」ことで、凍るのを防ぐことができます。給湯器のコンセントを抜かないのは、給湯器内部の凍結防止ヒーターを動かすためです。
・給湯器のリモコンの運転スイッチを切る。(コンセントは抜かない)
・お風呂の残り湯を残しておく。
こちらは、追い炊き機能付きの給湯器の凍結防止法で、風呂の残り湯を残しておくと、給湯器が自動で循環ポンプを作動させて、追い炊き配管の凍結を予防してくれます。
凍結は未明から朝方にかけて起こりますので、天気予報で「明日は寒いよ~」とやっていれば、その日の夜のうちに対策を行っておくと効果的です。
まとめ
凍結によって「お湯が出ないが水は出る」場合の原因と対処法をまとめます。
・「お湯が出ないが水は出る」原因は、給湯配管の凍結・地中の給水配管は凍りにくいが、地上に露出している給湯配管が凍結する為。
・給湯配管の凍結は「水を動かして」予防する。
・保温材や凍結予防ヒーターを使って凍結に備えておく。
毎年冬になると一度は大きな話題になる「お湯が出ない」トラブルは、ちょっとした対処法でかなり防ぐことができますので、覚えておくと安心です。