家中のエネルギーを電気でまかなう「オール電化住宅」はクリーンで安全性が高い住宅として注目されていますが、心配なのは「電気代」です。
新しく家を建てるならオール電化という方はもちろん、既存の家でオール電化へのリフォームを検討されている方も、オール電化を検討されていてやはり心配なのが「電気代が高くなるんじゃないか」ということですよね。
電気を大量に使用するのが前提であるオール電化住宅で電気代を節約するにはどうすればいいのでしょうか?
オール電化住宅で電気代を節約するには,電気を使う「時間帯」に注意する必要があります。
このページではオール電化住宅では電気を使う時間帯に注意しなければならない理由や、上手に電気代を節約するにはどうすればいいのかについてご紹介します。
そもそもオール電化住宅とは?
オール電化住宅とは調理や空調、電気、給湯など生活に必要な熱源を全て電気でまかなっている住宅のことを言います。
給湯設備:電気温水器やエコキュート
調理設備:IHクッキングヒーター
冷暖房設備:エアコンや床暖房など
給湯や調理設備のエネルギーにガスや石油を使わないので「燃焼ガスが出ずクリーン」である上に、コンロで直火を使わないので「安全性が高い」ということもあり2008年ごろから急速に普及が進んでいて、新築はもちろん既存の住宅でも、リフォームを機にオール電化にするご家庭が増えています。
オール電化住宅の電気代は時間帯によって違う
オール電化住宅では、エネルギーを電気一本化(=電気を大量に使う)するため、各電力会社が用意しているオール電化住宅向けの電力プランに加入している場合がほとんどです。
通常の従量電灯契約がどの時間帯に電気を使用しても、電気代の単価が同じなのに対して、このオール電化向けの電力プランは、エコキュートや電気温水器で電気を多く使用する深夜時間帯やIHクッキングヒーターの使用が予想される特定の時間帯(朝夕の食事時)などの電気代が安く設定されています。
例1:東京電力「スマートライフS/L」
※表中のスマートライフプランは現在新規加入受付を停止しています。
東京電力のオール電化向けプラン「スマートライフS/L」は午前1時~翌朝午前6時までの時間帯が深夜時間帯としてそれ以外の時間帯よりも割安の設定になっています。
例2:関西電力「ハピeタイムR」
関西電力のオール電化向けプラン「ハピeタイムR」では、「エコキュートが動く深夜の時間帯が「ナイトタイム」として最も安く、朝夕の時間帯が「リビングタイム」として2番目に安く設定されています。さらに在宅率が高い土日祝日は昼間の一番高いデイタイムが無くなって終日リビングタイムに設定されています。
このようにオール電化住宅向け電力プランでは深夜時間帯など電気代が安い代わりに、深夜時間帯以外の時間帯については、電気代の単価が高く設定されています。
従って、オール電化住宅で電気代を節約するためにはまずはご家庭で契約している電力プランの「電気代の安い時間帯」と「電気代の高い時間帯」を把握することが第一歩となります。
オール電化の電力プランを確認しよう
と言う訳で、オール電化住宅で電気代を節約する第一歩として、まずは現在契約している電力プランの内容を確認しましょう。
現在契約している電力プランを確認する一番簡単な方法は請求書を確認する方法です。
毎月電力会社から「電気ご使用量のお知らせ」という請求書が届いていると思います。
この請求書の「契約種別」を見れば今あなたが契約している電気料金プランを確認することができます。
最適な電力プランを選ぶことが重要
各電力会社では、多様化するライフスタイルに対応するために次々と新しい電力プランを打ち出しています。
それぞれ電気代が割安になる時間帯や電離料金の単価などが異なりますので、ライフスタイルの変化に合わせて定期的に契約している電力プランを見直すことも電気代の節約につながります。
但し、現在契約している電力プランの中には現在新規契約の受付が終了しているものあります。
一度プラン変更をしてしまうと、元の電力プランに戻すことはできませんので電力プランの変更は慎重に行う必要があります。
時間帯によって違う電気代をうまく節約するには?
オール電化住宅で電気代を節約する方法は至ってシンプルで、要は「電気代の高い時間帯」の電気の使用を出来るだけ避けて、「電気代の安い時間帯」に電気を利用することです。
エコキュート・電気温水器の電気代を節約するには?
オール電化住宅の機器の中で、多くの電気を消費するエコキュートや電気温水器については運転時間の制御を機器側の設定でやってくれているので、昼間の沸き上げを行わない、お湯の使い過ぎに気を付けるなど普通に使用しているだけで電気代の節約につながります。
⇨エコキュートの電気代を節約する上手な使い方はこちらの記事で紹介しています。
もう一つのオール電化住宅のメイン機器であるIHクッキングヒーターは消費電力が大きいので時間帯を意識した使い方が電気代の節約につながります。
例えば、煮込み料理やオーブン料理など調理に時間が掛かるものについてはできればタイマー機能などを使用して安い時間帯に調理を行うなどの工夫が必要です。
また、一度沸騰させた後は余熱で調理を行う「保温調理器」などを利用するのもIHクッキングヒーターで電気代を節約するにはいい方法です。
消費電力の大きい家電を把握して上手に節電する
オール電化住宅では、エコキュートやIHクッキングヒーターの電気代ばかりに目が行きがちですが、その他の家電についても、消費電力の大きい機器を把握しておき、使用する時間帯に注意することが大切です。
消費電力一覧
IHクッキングヒーター(卓上) | 約1000~1400W |
IHクッキングヒーター (3口タイプ) | 最大5800W |
食器洗い乾燥器 | 約1100~1300W |
電子レンジ・オーブンレンジ | 約700~1400W |
IH炊飯器(5.5合炊き) | 約1200W |
ドラム式洗濯乾燥機 | 約1200W |
エアコン(6畳用) | 暖房150~1200W・冷房160~900W |
※消費電力の数値はメーカーカタログ等を参考にしています
これらの機器はタイマー機能などを有効に活用して、できるだけ電気代の割安な時間帯に使用するようにしましょう。
オール電化で更に電気代を節約するには?
オール電化住宅で電気代を節約するには、電気代が安い時間帯に電気を利用するようにするのが基本ですが、更に電気代を節約するには「太陽光発電」や「蓄電池」の導入を検討するのも一つの方法と言えます。
どちらも導入にはある程度のコストが掛かりますが、うまく利用すれば電気代の大幅な節約や地震や台風など、災害時の停電にも対応できるなどのメリットがあります。
太陽光発電を導入する
太陽光発電システムを導入して、昼間の電気代の高い時間帯の電力をまかなうことができれば大幅な電気代の節約につながります。
また、太陽光発電で余った電力を電力会社に「売電(売る)」することで売電収入を得ることができます。
反面、太陽光パネルを設置したり、設置後のメンテナンスにコストがかかる点や、売電価格の低下など、太陽光発電システムに否定的な意見も多くあります。
しかし、太陽光パネルやパワコン(パワーコンディショナー)の性能向上や、海外の安い製品も出回るようになり、新たに導入しやすい状況にもなってきています。
蓄電池を導入する
太陽光発電と並んで近年注目が高まっているのが「家庭用蓄電池」の導入です。夜間の安い時間帯の電気を貯めておいて昼間に利用することで、電気代を節約することができます。
太陽光発電システムと組み合わせれば、発電した電気を自家消費することで電気代をゼロに近づけることも可能なので、既に太陽光発電を導入していて売電価格が下がったユーザーの間では蓄電池が注目されつつあります。
また、地震や台風などの災害時には非常用電源として使用することができることから注目を集めています。
太陽光発電システムと同じく、家庭用蓄電池も導入にはある程度のコストが掛かりますが、こちらも年々機器の価格が下がってきているので補助金制度などをうまく活用することで導入しやすくなっています。