深夜電力を使ってお湯を沸かす「電気温水器」は昔からあるポピュラーな給湯器です。
それに対してより効率よくお湯を沸かすことができる「エコキュート」は電気を使う給湯器の主流になりつつあります。
そこで古くなった電気温水器からエコキュートへの交換を検討されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
このページでは、電気温水器とエコキュートの違いや、電気温水器からエコキュートへ交換するとどんなメリットがあるのか?また、メリットだけでなくデメリットについてもご紹介したいと思います。
電気温水器とエコキュートはどこが違うの?
現在のところ、電気を使ってお湯を沸かす給湯器としてはエコキュートが主流になっていますが、昔からある電気温水器も販売されていてどちらを選んだらいいのか迷ってしまいます。
電気温水器とエコキュートはどこが違って、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのかを知ることで、ご家庭によってどちらを選んだらいいのかが見えてくると思います。
電気温水器とは
深夜電力を利用してお湯を沸かすタイプの電気温水器は、昭和39年(1964年)に最初に発売された比較的古くからある給湯器です。
もう何十年も電気の給湯器を使っているというご家庭だとほとんどがこの電気温水器に当たると思います。
電熱線(ヒーター)を使ってお湯を沸かし、電気料金が安い深夜の間に貯湯タンクにお湯を貯めておき、昼間はタンクに貯めたお湯を使います。
マイコン制御で昼間でも沸き上げができるタイプとタイムスイッチで深夜時間帯のみ沸き上げをするタイプとがあります。
電気温水器のメリットは?
電気温水器の最大のメリットとしては機械本体の価格が安く導入することができることです。
エコキュートと比べて構造が簡単でメンテナンスが容易なのもメリットといえます。
電気温水器のデメリットは?
電気温水器のデメリットとしてはヒーターを使ってお湯を沸かすため消費電力が高くエコキュートに比べて熱効率が劣る点です。
また、タイムスイッチ制御の場合だと深夜時間帯しかお湯を沸かせないので昼間にお湯を使いすぎてお湯切れしてしまうと、翌朝までお湯が使えなくなってしまいます。
エコキュートとは
エコキュートは2001年ごろから普及し始めた比較的新しい給湯器になります。
電気温水器と同じようなお湯を貯める貯湯タンクにヒートポンプで作ったお湯をためておいて使用します。
電気温水器と違って8時間通電タイプはなくリモコンの操作で昼間も追加の沸き増しをすることができます。
発売当初は使用できなかった井戸水でも使える専用タイプも発売されるなど、利用できるご家庭が広がっており、各メーカーがこぞって新製品を開発しているので、様々な機能がついた製品を選ぶことができます。
エコキュートのメリットは?
電気温水器と比べてのエコキュートのメリットは、熱効率の高さです。
エコキュートは大気の熱を利用してお湯を沸かすため、使う電気に対して得られる熱エネルギーの量が多く、効率よくお湯を沸かすことができます。
エコキュートは電気温水器と比べて、電力消費量が約1/3と言われています。
エコキュートのデメリットは
デメリットとしては、電気温水器と比べて機械本体の値段が高いことが挙げられます。
発売当初に比べるとかなりエコキュートの価格は安くなりましたが、それでも電気温水器と比べると同じ容量・機能のもので20~30万円ほどの価格差があります。
また、電気温水器と比べるとお湯を作るヒートポンプユニットの分だけ設置スペースが余計に必要になります。
電気温水器からエコキュートに交換するメリット・デメリットは?
電気温水器とエコキュートの違いを見てきましたが、それぞれにメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたと思います。
では、以前から使用していた電気温水器が古くなって、新しいものに交換する必要が出た場合には、
「新しい電気温水器に交換する」
「電気温水器からエコキュートに交換する」
のどちらにしたほうがいいのか?ということになります。
電気温水器からエコキュート、ランニングコスト・イニシャルコストで選ぶ
では電気温水器とエコキュートのどちらにするほうがいいのでしょうか?
双方を比較した場合の本体価格と電気代の関係をもう一度確認すると、
本体価格 | 電気代 | |
電気温水器 | 安い | 高い |
エコキュート | 高い | 安い |
となります。
従って、電気温水器に交換するのか、エコキュートにするのかは、「イニシャルコストの差額を、エコキュートのランニングコストの安さでペイできるのか?」にかかってきます。
機種やお湯の使用状況にもよりますが、一般的な家庭での電気温水器の電気代は月に約3000円程度と言われています。
それに対しエコキュートの電気代は月に約1000円程度で約1/3で利用できます。
電気温水器、エコキュートの寿命を約10年と仮定した場合、10年間の電気代の差は
毎月の電気代の差額2000円×12カ月×10年=240,000円
となります。
あくまで単純計算ですが、本体の価格差が20万円程度であれば従来型の電気温水器から、機能も充実している最新型のエコキュートに交換してもメリットがあるということになります。
電気代の差はお湯を多く使うご家庭ほど大きくなりますので、家族の人数が多い(将来的に人数が増える)ご家庭は、エコキュートにするメリットがあると考えられます。
逆に家族の人数が少なくお湯の利用量も少ないご家庭なら、本体価格が安くすむ電気温水器で十分という場合もあります。
エコキュート以外の電気代にも注意を!
エコキュートを導入すると、電気料金の契約を「時間帯別料金」(電力会社により各種あり)のものにする必要があります。
このエコキュート向けの電気料金プランはどの電力会社のものも主にエコキュートがお湯を沸かす深夜の時間帯は安いかわりに、昼間の電気代が高く設定されています。
従って昼間にお湯を使いすぎて沸き増しを頻繁に行ってしまうと電気代が上がってしまい、エコキュートを導入するメリットが無くなってしまう恐れがあります。
また、「時間帯別料金」プランの昼間に割高になる単価は、エコキュートだけに適用されるのではなく、家中の電気の使用に適用されるので注意が必要です。
例えばエアコンなども寝苦しい夏の深夜の利用にはお得ですが、逆に日中に多く使うと電気代が割高になってしまうのです。
電気温水器からエコキュートへ!メリットがある家庭は?
電気温水器からエコキュートに変えてメリットがあるのは次のようなご家庭です。
平日昼間は仕事や学校などで家にいない
エコキュート用の電気の契約は夜間が安くて昼間は割高なものがほとんどです。昼間に家にいなくてお湯や電気を使わないご家庭ほど電気代がお得になります。
洗濯機や食器洗い機などはタイマー機能を使って深夜時間帯に使用するなど、昼間の節電に努めれば努めるほど毎月の電気代を安く抑えることができます。
家族が続けてお風呂を利用できる(保温や追い焚きをあまり使わない。)
エコキュートのふろ自動運転や追い炊き機能は貯湯タンクのお湯を熱交換して利用するので使えば使うほど沸き増し量が増え、電気を使うことになります。
一度お風呂を沸かしたら、時間をおかず家族全員が順番にお風呂に入れれば無駄な保温や追い炊きをしなくて済むので電気代の節約になります。
ある程度のお湯の利用がある
お湯の利用が極端に少ないご家庭は、電気温水器とエコキュートの電気代の差が出にくいので、本体の価格が高いエコキュートの導入費用を償却できない恐れがあります。
湯船にお湯を貯めずシャワーをメインで使う方や、1人暮らしであまりお湯を使わないというのであれば、本体価格の安い電気温水器やほかの給湯器で十分という場合もあります。
しかし家族の人数が4人から5人程度ならエコキュートにした方がお得になります、湯切れしない適正な容量のエコキュートにすればエコキュートが原因で電気代が上がることはほとんどないでしょう。
まとめ
エコキュートは、電気温水器に比べるとより少ない電気で効率的にお湯を沸かすことができる優れた給湯器です。
但し、電気温水器からエコキュートに交換することがメリットになるのかどうかは、各ご家庭のお湯の使用状況や、生活スタイルによって変わってきます。
エコキュート向けの電気料金プランの内容をよく理解したうえで、エコキュート自体の使い方はもちろん、エコキュート以外の昼間の電気の利用にも注意を払うことでご家庭の電気代を安く抑えることができます。