エコキュートを導入したけれど、電気代が高いと感じることはないでしょうか?エコキュートは本来、少ない電気代で効率よくお湯を沸かすことができる給湯器なのですが、使い方によって電気代が高くなってしまうこともあります。
このページではエコキュートの電気代が高くなってしまう原因と、エコキュートの電気代を節約するためにチェックしたいポイントをご紹介したいと思います。
現在エコキュートを利用している方はもちろん、これからエコキュートを導入しようとお考えの方も参考にしていただければと思います。
エコキュートの電気代は平均いくらくらいなのか?
エコキュートにかかる電気代については、エコキュートのトップメーカーであるパナソニックの公式サイトに地域別のエコキュートにかかる電気代の月平均のデータが公開されているのでご紹介します。
エリア | 電気代/月 |
北海道電力エリア | 約2,500円 |
東北電力エリア | 約1,700円 |
北陸電力エリア | 約1,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約1,900円 |
中部電力エリア | 約1,800円 |
関西電力エリア | 約1,200円 |
中国電力エリア | 約1,600円 |
四国電力エリア | 約2,400円 |
九州電力エリア | 約1,400円 |
沖縄電力エリア | 約900円 |
※パナソニックエコキュートHPより引用
※上記の金額はお湯の使用量や沸き上げ設定、季節・地域によって変わってきます。
ご覧のようにエコキュートにかかる電気代は、寒い地域でも1カ月平均3,000円足らず、温かい地域だと1ヵ月平均2,000円以内でお湯を使うことができるということになります。
これはエコキュートが単価の安い夜間電力を主に使用するためで、ランニングコストが高いといわれている都市ガス給湯器に比べると約1/4という数値になります。
実際には、エコキュートの電気代といっても毎月の電気代の明細には家全体の電気代が記載されているので実際にはエコキュートに電気代がどれくらい掛かっているのかははっきりはわかりません。
従って、エコキュートを導入する前と導入してからの電気代を比較してどのくらい電気代が上がったかを比較することでひとつの目安とすることができます。
エコキュートを導入する前の電気代とエコキュート導入後の電気代を比較して、
・電気代の上げ幅が上記の月平均を大幅に超える。
・エコキュートを導入する前年の同じ月で比較して大幅に電気代が上がった。
こんな場合には、エコキュートが原因で電気代が高くなっている可能性がありますので、エコキュートの使い方を見直してみることをおススメします。
エコキュートの電気代を節約するには?
エコキュートは本来ランニングコストに優れた給湯器ですが、使い方によっては余計な電気代がかかってしまうことがあります。
「エコキュートを設置してから電気代が急に高くなった」場合にはエコキュートの使い方をチェックしてみましょう。
沸き上げ設定を見直す
エコキュートはタンク内に貯めておくお湯の沸き上げ上げ量をあらかじめ設定しておく事ができます。エコキュートのメインリモコンに現在の沸き上げ設定が表示されているので確認してみましょう。
※エコキュートの沸き上げ設定表示の例(左はコロナ、右はダイキン)
※メーカーや機種によって表示位置や表示方法が異なる場合があります。
メーカーによって多少の違いはありますが、エコキュートはお湯の使用量によって、
多め:お湯の使用量が多い家庭や、いつもより多くお湯を使いたい時向け
おまかせ:お湯の使用量を学習し自動的に沸き上げ量を決める
少なめ:お湯の使用量が少ない家庭向け
などの沸き上げモードが設定できます。
「多め」の設定で湯量に余裕があるようなら「おまかせ」に、「おまかせ」なら「少なめ」にというふうにわき上げ設定を変更する事で余計な沸き上げを減らす(=電気代の節約)ことができます。
お湯を使う人数が変わったり、季節ごとに沸き上げモードを使い分けることで電気代の節約につながります。
ただし、あまりギリギリの設定にすると湯切れを起こしたり、昼間の沸き上げ回数が増えてしまう可能性がありますので、沸き上げ設定の変更は慎重に行いましょう。
ふろ自動運転を極力短くする
お風呂の湯量や温度を一定に保ってくれる「ふろ自動運転(フルオートタイプのみ)」はとても便利な機能ですが、定期的にお湯張りや追い炊きを繰り返すので、その分タンク内のお湯を消費します。
入浴時間を短くしたり、家族全員が時間を空けず続けてお風呂に入るなど、ふろ自動運転の時間を短くすることが電気代の節約になります。
追炊きよりも高温さし湯を使う
エコキュートの追炊き運転は、貯湯タンク内のお湯の熱を浴槽内のお湯に移す(熱交換)して追炊きします。
熱交換の場合、タンク内のお湯の熱を100%浴槽のお湯に移すことはできないので、電気代だけを見れば、タンク内のお湯をそのまま浴槽に入れる「高温さし湯」の方が効率よく浴槽内のお湯を温めることができます。
また同じ理由で、お風呂に入る間隔が何時間も空いてしまうようであれば、ふろ自動で保温したり、残り湯を沸かし直したりするよりは、新しくお湯を入れ直す方が電気代の節約になります。
その他、洗面やシャワー、炊事でお湯を使う時にはこまめに止水する、ふろ自動運転中はお風呂にフタをしてお湯が冷めにくいようにするなど、できるだけ夜間電力で貯めたお湯の範囲内で上手にお湯をやりくりし、昼間に沸き増しをしないようにすることがエコキュートの電気代を節約することにつながります。
電気代が高いのはエコキュートのせい?ほかに見直すポイントは?
「エコキュートにしたとたんに電気代が高くなった!」
そんな時は果たしてエコキュートだけが原因でしょうか?電気代が高くなったのはエコキュートだけのせいではないかもしれません。
電力契約プランを把握しておく
エコキュートを設置すると、電力会社との電力契約プランがいわゆる「時間帯別電灯」契約となります。
この時間帯別電灯契約は「深夜電力が安い代わりに昼間の電気料金が高い」になるのですが、契約する電力会社や電力契約プランによって、深夜電力と昼間の時間帯の区分けが違うので注意が必要です。
また、電力会社によっては昼間の時間帯も「ピーク時間」と「オフピーク」とで値段が変わったり、平日と休日で時間帯が変わるプランがあったり、「夏季」と「冬季」で時間帯の区分けを変えている場合もあります。
自分の家の電力契約を確認し、どの時間帯が安くてどの時間帯が高いのかをきちんと把握することが重要です。
エコキュート以外の電気の使い方にも注意!
この電力契約はエコキュートだけでなく家中全ての電力の使用に適用されるので、契約しているプランの内容をきちんと把握していないと、知らず知らずに「高い電気ばかり使っていた」ということにもなりかねません。
「エコキュートを導入して電気代が上がった」という場合、エコキュートの電気代ではなく、エコキュートを導入することで電力契約プランが変更になったせいで、エコキュート以外の電気代が高くなっていたというケースがよくあります。
昼間の時間帯は特に注意して節電に努め、洗濯機や食器洗い機などはタイマー機能を使って深夜時間帯に動かすなど、家電類の使い方を工夫することで電気代を安く抑えることができます。
新しいエコキュートでさらに電気代を節約!
古くなったエコキュートを新しいものに交換することも、電気代の節約につながります。
現在発売されている最新モデルのエコキュートには、これまでにはない様々な省エネ機能が充実しています。
年間給湯保温効率の向上
最新モデルのエコキュートは従来のものに比べてお湯を貯めておく貯湯タンクの材質や保温材の材質の性能が向上していて、沸かしたお湯を無駄にしない構造になっています。
また、ヒートポンプユニットの熱交換の性能や運転制御技術の向上でより少ない電力消費で効率よくお湯を沸かせるようになっています。
エコキュートの省エネ性能を比較する目安として「年間給湯保温効率」という数値があります。
年間給湯保温効率は「エコキュートを運転した時の単位消費電力量当たりの給湯熱量及び保温熱量を表したもの」で、数値が高いほど熱効率が高く省エネだということになります。
例えば、三菱電機のエコキュート「プレミアムタイプ」だと2011年発売モデルの年間給湯保温効率は「3.1」ですが、現行モデルだと「3.8」に向上するなど、新しいモデルほど省エネ性能が高くなっていることが分かります。
各メーカーのエコキュートのカタログには、モデルごとの年間給湯保温効率の数値が記載されているので、省エネ性能でエコキュートを選ぶ際の目安にすることができます。
ふろの残り湯の熱を再利用して節約する機能
最新モデルのエコキュートの中には、入浴し終わった後の残り湯の熱を回収して貯湯タンクの沸き上げの熱源として再利用する機能がついたものも発売されています。
残り湯の熱を再利用する機能には、長府製作所の「ecoとく」やパナソニックの「ぬくもりチャージ」などがあります。
※長府製作所エコキュートカタログより引用
※パナソニックエコキュートカタログより引用
どちらの機能も入浴後にリモコンのスイッチを押すことで熱回収を開始し、「残り湯の熱を40%程度回収(ecoとく)」「翌日分のお湯はりのエネルギーを最大約10%節約(ぬくもりチャージ)」する省エネ効果があります。
入浴している時だけ保温する機能
通常の「ふろ自動運転」は定期的に浴槽のお湯の温度を検知して設定温度まで追い炊きを繰り返しているので、入浴の間隔が開いているとその分無駄な追い炊きが発生していました。
最新のエコキュートには、入浴を(浴室に人がいる)を検知して保温追い炊きをすることで入浴していない間の無駄な追い炊きを減らす省エネ機能を搭載したモデルがあります。
入浴を検知して追い炊きする機能には、パナソニックの「エコナビ」や、コロナの「省エネ保温」などがあります。
※パナソニックエコキュートカタログより引用
パナソニックの「エコナビ」はひとセンサーが入室を検知して設定温度まで加熱することで、従来モデルに比べてふろ保温時最大約35%省エネを実現しています。
※コロナエコキュートカタログより引用
また、コロナの「省エネ保温」は人が入浴する時の浴槽の水位上昇で入浴を検知し保温追い炊きをすることで、ふろ保温時最大約36%省エネとなっています。
このようにエコキュートは各メーカーの開発努力により年々性能が向上していて、より少ない電気で効率よくお湯を使えるようになっています。
もし今お使いのエコキュートが設置から10年以上経っているものであれば、エコキュートを現行の最新モデルに取り替えることで更なる電気代の節約につながります。
また、これからエコキュートの導入をお考えの方は、メーカーや機種を選ぶ際には、省エネ機能内容にも注目してみることをオススメします。
まとめ
エコキュートは本来とても効率がいい給湯器で正しく使えば電気代の節約につながります。
しかし間違った使い方をしてしまうとかえって電気代が高くなってしまうことがあるので注意が必要です。
そしてエコキュートを設置すると、ご家庭の電気代には、各電力会社の電力契約プランが深く関係してきます。
エコキュートを設置したのに電気代が高いと感じている方はエコキュート自体の使い方はもちろん、エコキュート以外の電気の使い方についても見直してみてはいかがでしょうか。
また、設置から長くたったエコキュートを省エネ性能に優れた最新のものに交換することも電気代の節約につながります。