古くなったり、故障してしまった石油給湯器を新しいものに交換するのに費用はどのくらいかかるのでしょうか?
石油給湯器は昔からある石油(灯油)を燃料にした給湯器で、ガスや電気給湯器と比べてランニングコストが安く、現在でも多くの家庭で使用されています。
そんな石油給湯器ですが、不調や故障などで交換の必要がある場合、最も気になるのは「交換するのにどのくらい費用が掛かるのか?」ということではないでしょうか?
一口に石油給湯器といっても色々な種類があり、給湯器のタイプや求める機能などによってかなりの価格差があります。
また、取付業者によっては交換工事にかかる費用に差があり、どの程度が適正な値段なのかが気になるところです。
ということでこの記事では、石油給湯器を交換する際の注意点や、交換にかかる費用の相場などについてご紹介したいと思います。
石油給湯器の交換は給湯器のタイプを知って機種を選びましょう!
石油給湯器の交換を依頼するにあたってまず知っておきたいのは、自分の家に設置されている石油給湯器がどんなタイプのものなのか?という点です。
石油給湯器のカタログを見てみると、石油給湯器には給湯能力や機能によって様々な種類があります。
まずは今使っている石油給湯器がどのタイプなのかを把握し、その上で新たに交換する石油給湯器を検討することになります。
直圧式か貯湯式か?
石油給湯器には大きく分けて、「直圧式」と「貯湯(減圧)式」の2種類の給湯方式あります。
「直圧式」は水道の水をそのまま石油給湯器に直結して給水するタイプで、給湯器内部を通る水を瞬間的に沸かしてお湯を供給します。
それに対して「貯湯(減圧)式」は給湯器内部の貯湯タンクに貯めた水をバーナーで加熱して沸かし、そのお湯を供給するタイプの給湯器になります。
直圧式と貯湯式の見分け方
「直圧式」と「貯湯式」の見分け方は、「直圧式」は給水管が直接給湯器に接続しているのに対して、「貯湯式」には下の画像のように、給湯器の給水管に「減圧弁」「安全弁」が取り付けられていることで見分けることができます。
しかし、「貯湯式」の中でも給湯器の外に減圧弁・安全弁がない「内蔵減圧タイプ」があります。
お使いの給湯器が内蔵減圧タイプだと、減圧弁や安全弁は給湯器の内部に取り付けられているため、配管の違いで見分けることは難しくなります。
その場合の見分け方としては、内蔵減圧タイプの給湯器には、給湯器側面(または裏面)に下の画像のような安全弁の排水ホッパーがあります。
直圧式の給湯器には排水ホッパーは無いので、この排水ホッパーの有無で直圧式と見分けることができます。
但し、お使いの給湯器がエコフィールの場合は、直圧式でも中和水の排水ホッパーがあるため、貯湯式のものとの見分けがつきにくい場合があります。
もし、現在お使いの石油給湯器が直圧式なのか貯湯式なのか判断がつかない場合は、取替以来の際にその旨を伝えて、業者の方に確認してもらいましょう。
直圧式と貯湯式のメリット・デメリットは?
直圧式と貯湯式の給湯器にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
直圧式と貯湯式の主なメリット・デメリットを表にまとめました。
直圧式 | |
メリット | デメリット |
水道圧のままの勢いで給湯できる | 高い水道圧がかかるため、古い配管などは破裂の恐れがある |
水圧が高いので、2階への給湯も可能 | 構造が複雑で、価格が割高になる |
貯湯式と比べて灯油使用量を節約できる | 構造上、少量のお湯を出すことができない |
貯湯(減圧)式 | |
メリット | デメリット |
構造が簡単で価格が割安になる | 減圧しているので、直圧式に比べてシャワーなどの勢いが弱くなる |
圧力を抑えるので、古い配管でも利用可能 | 2階への給湯だとお湯の勢いが著しく落ちる場合がある |
少量のお湯も出す事が可能 | 直圧式と比べて灯油使用量が増える |
「直圧式」と「貯湯式」どちらを選ぶか?
石油給湯器を交換するとき、直圧式と貯湯式のどちらを選んだらいいのかというと、基本的には今使っているタイプと同じものを選ぶことをおススメします。
現在設置されている石油給湯器が「直圧式」の場合は直圧式を、「貯湯式」が付いている場合は交換する石油給湯器も貯湯式を選ぶ、という具合です。
今まで貯湯式を使っていて、新しい給湯器を直圧式に変更した場合、既存の配管に掛かる水圧がかなり高くなるため、古い配管だと水漏れを起こしてしまう恐れがあります。
そうなってしまうと、配管の修理や最悪の場合配管の引き替えが必要となって、多額の費用がかかってしまうことになります。
逆に価格が安いからと、安易に直圧式から貯湯式に変更してしまうと、直圧式に比べるとどうしてもお湯の勢いが弱くなるので、シャワーなどの使用感が大きく変わってしまい不便を感じるかもしれません。
もし現状の使用感で特に不満がないのであれば、「直圧→直圧」「貯湯→貯湯」というように今までと同じタイプの給湯器を選ぶのがベストといえます。
給湯器の給湯能力は?
次に確認したいのは給湯器の「給湯能力」です。要するに「どれだけのお湯を供給できる給湯器なのか?」ということです。
今お使い給湯器の給湯能力(給湯出力)を知るには、給湯器のフロントパネルに貼られている「銘板」に記載されているので確認しましょう。
現在販売されている石油給湯器の給湯能力は、各メーカー共、
- ハイパワータイプの4万キロタイプ・・・46.5KW(40,000Kcal)
- 普及型の3万キロタイプ・・・39.0KW(33,500Kcal)
※細かい数字は各メーカーで若干異なります。
に分けられ、機能が同等のものなら給湯能力の大きい方が製品の価格は高くなります。
給湯能力を選ぶ目安は使用する家族の人数で、4人家族以上ならハイパワータイプの4万キロタイプ、それより少ない人数なら3万キロタイプとなっています。
しかし、家族の人数が少ないからといって安易に今まで使っていたものより給湯出力の小さいものを選ぶのはオススメしません。
今までよりお風呂のお湯はりに時間が掛かったり、2か所同時給湯をすると極端にお湯の量が少なくなってしまったりと、「使用感」に大きな違いが出て、思わぬストレスになったりします。
給湯能力についても、今まで使っていたものでお湯の出方に不満が無いようならば、同じくらいの出湯能力の機種を選んでおくのが無難といえます。
給湯器の機能の違いで選ぶ
石油給湯器には機能の違いで大きく分けると「給湯専用」「追い炊き付き」「フルオート」のタイプがあります。
各タイプでできる機能はだいたい次の通りです。
給湯専用 | 蛇口にお湯を供給する |
追い炊き付き | 蛇口にお湯を供給・追い炊き・ふろ保温 |
フルオート | 蛇口にお湯を供給・自動湯はり・追い炊き・ふろ保温・たし湯・たし水 |
給湯器の機能が増えれば当然給湯器本体の値段は高くなりますので、欲しい機能と予算との兼ね合いで給湯器を選ぶことになります。
石油給湯器の交換工事、費用の相場は?どのくらい掛かる?
では石油給湯器を交換する場合、費用はだいたいどのくらいかかるのでしょうか?
石油給湯器の交換工事の費用は「給湯器本体の価格+工事費用」ということになりますが、給湯器本体の価格は、給湯器のタイプや求める機能によってかなり変わってきます。
そして給湯器を取り付ける工事費用も今までと同じタイプの給湯器を付けるのと、機能をグレードアップして取り付けるのとでは工事の内容が変わってくるので、当然変わってきます。
例えば、給湯専用の給湯器から、追い炊き付きやフルオートの給湯器に変更する場合には、浴槽に追い炊き配管を新設したり、風呂リモコンを新たに取り付けたりする工事が追加で必要になります。
また、同じタイプの給湯器を取り付ける場合でも、既存の配管の状態が悪かったり、設置場所を変更して配管を延長する必要があったりすると、その分の工事費が追加でかかる場合もあります。
なので、石油給湯器を交換する費用については設置業者に現地を見てもらい、見積もりをしてもらわなければ正確な金額はわからないということになります。
とはいっても、それでは全く見当もつかないと思いますので、ここでは「同じタイプの給湯器を単純に交換した場合」の大体の相場についてご紹介します。
石油給湯器の交換費用の相場としては、
・石油給湯器本体の価格は、メーカーのカタログ価格の2~3割引き程度が相場
・工事費は大体3~4万円程度が相場
と言ったところです。
従って、給湯器のタイプ別の、本体の交換に必要な費用の相場は、本体の値段+工事費で、
機能/タイプ | 直圧式 | 貯湯式 |
給湯専用 | 23~25万円 | 15~19万円 |
追い炊き付き | 25~27万円 | 22~24万円 |
フルオート | 27~33万円 | 24~26万円 |
これに灯油タンクを一緒に交換するなら2万円(鉄製)~4万円(ステンレス製)程度プラスになります。
また、灯油の消費量を抑えた省エネタイプの「エコフィール」を選ぶとなると、給湯器本体の価格は同じ機能の従来型に比べて5~10万円程度プラスになります。
但し、この金額はあくまで相場なので、業者によってかなり金額に差が出る場合があります。
ですから、石油給湯器の交換を業者に依頼する場合には、面倒でも必ず複数の業者に見積もりをとり、内容を比較検討することをおススメします。
まとめ
石油給湯器を交換する場合、今使っているものと同じタイプのものに交換するのか?能力や機能をグレードアップするのかによって費用が大きく変わってきます。
給湯器をグレードアップすれば、本体の価格が上がるのはもちろんですが、それに伴い追加の工事が必要になる場合もあります。
現状を把握し、家族構成やライフスタイルが将来どう変わっていくのかを想定し、どういうタイプの石油給湯器に交換したいのかを、費用とのバランスを考えながら検討することが大切になります。